過去最高の(自己紹介の)掴みは...

過去最高の(自己紹介の)掴みは...

窮地に立たされた時に出た思わぬ一言でした。
私の中学生時代(昭和50年半ば)は校内暴力全盛期でした。
生まれ育った福岡県久留米市は県内でも有数の問題の地域でした。
不良でなくても中学2年生になるとそれなりの格好をしていました。(ご想像にお任せしますが)

そんな田舎の中学生の転校初日の事です。
水兵のような開襟シャツに白いズボンという制服でちょっとだけ剃り込みが入った坊主頭の普通の少年(私)が、
練馬区の西武線の駅から降り立ち、学校まで歩いていると「真面目そうな格好」の中学生が前を歩いていました。
同じ中学に向かうのだろうとその中学生の後をついて学校まで歩いていたのですがその時に無意識に「メンチ」を切ってたらしいです。

お約束の昼休みに屋上への呼び出しを受けました。
見た目はみんな普通の子たち(九州の極悪な見た目の中学生を見慣れていたので)が私を呼び出しているのですが、
私は、彼らがまさかワルだとは思っていないので全く危機感を持っていませんでした。
そこで、背の高い番長格の少年が「おい、テメーよ。」みたいな事を言い出して
初めて事の重大さに気が付いたのですが、日本には久留米弁しかないと思っていた私にとってはキレイすぎる標準語のためなかなかビビりませんでした。
しびれを切らしたのか、私の前を歩いていた「真面目な子」が私に「登校時にメンチ切っただろう?」みたいなことを言いました。
「は~、オイがどげんしたっちゆうとね~」と極普通に(本人としてはですが)返事したらその場の空気が180度変わりました。「オイ」ってなんだ?どげんってなんだ?」
一斉に全員が笑い出しました。振り上げた拳をみんなどのように下ろしたらいいのか分からずただ、笑っていました。
私も何がおかしいのか全く分からないながらも笑うしかありませんでした。
その後、彼らは
「お前、面白い奴だな。名前はなんていうんだ。」
と柔らかな態度に急変しました。
「おいか、うつみっち、ゆうんよ。」
でまた爆笑。
すっかり掴んでしまいました。
その後は彼らとは仲の良い同級生として打ち解けました。

あの掴みを越えるものは未だにありません。
しかし、
あの掴みを越えるものを属人的でなく再現可能があるものとして出来ないか?
と考え自己紹介の研究を始める事になりました。

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